「最期にあなたに会えてよかった」その言葉を目指して働く。

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M&Aを機に、2020年にドットラインの一員となった黒田さん。市原市にある「ドットステイ(看護小規模多機能型居宅介護)」の立ち上げにも携わり、現在は施設長兼ケアマネジャーとして活躍しています。学生時代は児童福祉に強い興味があり、高齢者支援にはまったく興味がなかったという黒田さん。そんな黒田さんが、なぜ高齢者支援の道へ進んだのか。施設長として大切にしている考え方や、福祉の仕事の魅力について伺いました。

💡ドットステイ(看護小規模多機能型居宅介護)とは
市原市に拠点を構える、地域密着型の施設。外出困難な高齢者や医療ケアが必要な疾患をお持ちの方を対象に、「第二の自宅」のような居心地の良い施設を提供。看護師や介護福祉士などの専門家による在宅医療のフルサービス(訪問・通い・泊まり)の提供及びご家族への支援により、住み慣れた街で自分らしい暮らしを人生の最期まで支えています。

「障がい児支援」にしか興味がなかった

福祉業界を目指したきっかけを教えてください。

幼少期に通っていた学校の近くに特別支援学校があり、在学中に何度か交流の機会がありました。当時から障がいの有無は気にしたことがなくて、純粋にその時間が「楽しかった」という思い出がありました。
高校生になり進路を考えたときに、ふとその楽しかった記憶がよみがえってきて…「児童福祉を勉強したい」と思ったことが、最初のきっかけです。 その想いをもって、福祉系の大学に進学をし、そこからずっと福祉の仕事に携わっています。

就職先はどうやって決めたんですか?

一人暮らしの経験がなかったので、「実家から通える範囲で働きたい」と考えていました。ただ、自宅近くで探してみても、自分が本当にやりたいと思える仕事にはなかなか出会えなかったんです。 もちろん不安はありましたが、それ以上に「自分がやりたい仕事に挑戦したい」という気持ちが強く、一人暮らしを決意しました。

就職活動時期に、高齢者支援への興味は…?

まったくありませんでした!(笑)
だって、お別れがあることを考えると、自分には耐えられないと思っていたんです。 だから、学生時代の実習先も児童福祉施設のみ。就職活動も児童福祉に絞って行い、最終的には知的障がい児の入所施設で支援員として働き始めました。 

では、何がきっかけで高齢者支援へ挑戦しようと思ったのでしょうか。 

前職には6年ほど勤めていましたが、次第に施設運営の先行きに不安を感じるようになっていました。そんなとき、介護職として働いていた妻から「上司が独立するんだけど、一度話を聞いてみない?」と声をかけてもらったんです。
ただ…、その会社が運営していたのはデイサービスやショートステイなどの高齢者施設。面接の際には、「高齢者支援は、別れのときに寂しくなってしまうからつらい。自分にはできない。」と正直にお話をさせていただきました。

こうした自分の気持ちを受け止めたうえで、社長(面接担当者)から、「人生の終わり良ければ全て良し、じゃないかな。その最期に寄り添った結果、ご利用者様にも、ご家族にも『最期にあなたに会えて良かった』と思ってもらえたら素敵じゃないですか?」 という言葉をもらって。
その言葉が心にグッときたんです。

自分はお別れが怖い・つらい、寂しいといって高齢者支援を避けていた。でも、ご利用者様にもご家族にも「最期にあなたに会えて良かった」と思ってもらえる支援ができたら、それはとても素敵なことだなと思ったんです。だから、高齢者支援へ踏み出すことを決めました。

素敵なきっかけですね

今でも、お別れのときはやっぱりつらいです。ご利用者様が亡くなられた際には、関係機関も含めて振り返りの会議を行うのですが、その場で自然と涙があふれてしまうこともあります。

でも、それだけ真剣に向き合ってきた証でもあると思うんです。
ドットステイではチーム全員で支援を行っています。だからこそ、喜びも悲しみも共有できる。後悔のない支援ができていることが何より大切だと感じています。

印象に残っていることなどありますか?

数えきれないほどありますが、印象に残っている終末期ケアでのエピソードを一つお話しします。

以前、ご利用者様のなかに末期がんを患っている方がいらっしゃいました。ただ、会話も食事も問題なくできていて、ご家族の皆さんとも普段通り、穏やかに過ごされていたんです。ある日、ご家族とお話ししていた際に「おばあちゃんはお寿司が大好きなんです」という話を聞き、「せっかくだし、施設のみんなでお寿司を楽しむ機会をつくろう」と考え、参加自由の出前寿司パーティーを企画したんです。

ところが、そのパーティーから2日後、ご利用者様の容態が急変し、亡くなられたとご家族からご連絡をいただきました。

もちろん、その連絡を受けたときは悲しさや寂しさでいっぱいでした。でも、ご家族からは「母は最期に大好きなお寿司を食べることができて、本当に幸せそうでした。ありがとうございました」と言っていただけました。
結果として、その方にとって最期の大切な時間をつくることができたのだと感じました。人生の最期に寄り添うこの仕事には、人の幸せに深く関われる大きな価値があるのだと改めて実感しました。

管理職とは「目の前の困ったを誰よりも諦めない人」

– 現在の業務内容を教えてください。 

ドットステイ(看護小規模多機能型居宅介護)の管理職として施設運営や職員のマネジメントを行いながら、ケアマネジャー業務も兼任しています。 

– 管理職とケアマネージャーの兼任は大変では?

大変ですね(笑)
ただ、前職では100名近い利用者様を担当していたので、それと比べると現在は施設ケアマネとして最大29名のご利用者様に集中できます。一人ひとりと丁寧に関われる環境だと感じています。 

マネジメントで大切にしていることはありますか。 

僕のなかで管理職とは、「目の前の困ったを誰よりも諦めない人」だと思っています。 

なかには、支援が難しいケースに直面することもあります。でも、「難しいから仕方ない」「できない」と諦めるのではなく、どうすればより良い支援ができるのかを追求し続けることが大切だと思っています。

僕ね、仕事をしていくうえで、「絶対に一人の責任にはしない・させない」と決めているんです。僕の下にいる限り、絶対に独りぼっちにはさせません。

現場では夜勤など一人で対応する場面もありますが、日頃からチーム全員で対応方針を決めているため、困ったときも一人で抱え込む必要はありません。「決まっているルールやマニュアルで動けば大丈夫」なので、個人の精神的負担を軽減できるようにしています。

もし既存のルールで対応できないのであれば、みんなで話し合い、新しく作ればいい。改善が必要なら、みんなで改善すればいい。それでも何かあったときは、管理職である僕が責任を持ち、みんなを守ります。

また、日頃から役職に関係なく意見を言いやすい雰囲気づくりも意識しています。働く職員みんなに伝えているのですが、発言内容はその人の人格ではなく、あくまで「意見」なんです。だからこそ、誰もが安心して考えを伝えられるチームでありたいと思っています。

高齢者施設は、決して閉鎖的な場所ではない

– 今後、ドットステイをどのような施設にしていきたいですか。

施設の近くに小学校があるのですが、高齢者だけでなく子どもたちも、学校帰りや休日にふらっと立ち寄れる「地域のコミュニティの場」にしたいと思っています。

だからこそ僕たちも、日ごろから施設にボランティアや少年合唱団を招いたり、公民館へ出かけたり、季節ごとのイベントを企画したりと、外部と交流する機会を積極的につくっています。最近では、いちご狩りや落語鑑賞に出かけたり、みんなでスーパーへ行っておやつを選んだりしました。

一般的には、高齢者には無理をさせず、穏やかに過ごしていただくのがいい、という考え方もあると思います。ただ僕は、新しいことに挑戦したり、日々のなかで役割を持って過ごしたりすることこそ、その人らしくいられることにつながると考えています。

実際に施設での活動を通じて、ご家族も知らなかった得意なことが見つかるケースもあって。実際に「〇〇さん、塗り絵得意だったの?」と、そんな発見がきっかけとなり、ご利用者様とご家族、お孫さんとの会話や交流が増えたこともありました。

そのときの皆さんの笑顔を見ると、本当にこの仕事をしていて良かったと感じます。

スマホではなく「人から学ぶ」面白さを感じてほしい

– 最後に、就活・転職活動中の皆さんへメッセージをお願いします。 

高齢者支援の仕事では、自分の親世代、祖父母世代の方々と毎日関わります。 

今はスマホで検索すれば、多くの情報を得られる時代ですが、ご利用者様との会話からしか学べないこともあると思います。長い人生を歩んできた方々が「体験してきた生の声(経験や価値観、生き方など)」に触れることで、自分自身の視野が広がり、人として成長できるとも感じています。

そして、聞くだけでなく、「今はこうなんですよ!」とこちらからお伝えすることも、もちろんあります。こうした何気ない会話や心の触れ合いも、この仕事ならではの魅力と感じています。

高齢者支援に興味がある方はもちろん、「自分には向いていないかもしれない」と感じている方にも、ぜひ一度話を聞きに来てほしいです。皆さんが気になる、知りたい内容に合わせて、たくさんお話ができたらと思っています。

僕自身がそうだったように、新しい世界が広がるきっかけになると嬉しいですね。

 

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